経済活動と背任罪
品田智史 著
定価:6,600円(税込)-
在庫:
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発行:
2024年09月01日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
292頁 -
ISBN:
978-4-7923-5427-5
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内容紹介
目 次
はしがき(ⅰ)
初出一覧(xiv)
第1編 背任罪における任務違背(背任行為)に関する考察
第1章 我が国の状況 3
第1節 問題の設定 3
第2節 背任行為に関わるいくつかの視点 4
第1款 背任罪の本質に関する議論からの帰結(4)
第2款 背任罪の主体(6)
第3款 図利加害目的(8)
第3節 背任行為を巡る議論 11
第1款 「任務違背」の定義(11)
第2款 「任務違背」の判断基準(13)
第1項 形式説?(13) 第2項 実質説(14)
第3項 「不利益」概念(16)
第3款 判例における「任務違背」の判断(18)
第1項 形式的判断と実質的判断(18) 第2項 「不利益」基準(21)
第3項 その他の基準(23) 第4項 まとめ(24)
第4節 小 括 25
第2章 ドイツにおける議論 27
第1節 背任罪規定の構造 27
第1款 はじめに(27)
第2款 ドイツ刑法266条の形成過程(28)
第3款 二つの構成要件の関係(29)
第4款 背任罪の主体(31)
第5款 故意の厳格化(34)
第2節 背任行為 35
第1款 濫用構成要件―権限濫用(35)
第2款 背信構成要件―財産配慮義務違反(36)
第3款 財産保護義務違反(36)
第1項 私法との関係(37) 第2項 同 意(38)
第3項 個別の義務違反行為との関係(38) 第4項 冒険的取引(41)
第4款 まとめ(43)
第3節 最近の動向 44
第1款 判 例(45)
第1項 連邦通常裁判所2000年4月6日判決(BGHSt 46, 30 ff.)(45)
第2項 連邦通常裁判所2001年11月15日判決(BGHSt 47, 148 ff.)(47)
第3項 連邦通常裁判所2001年12月6日判決(BGHSt 47, 187 ff.)(48)
第4項 連邦通常裁判所2005年11月22日判決(キノヴェルト〔Kinowelt〕事件判決、BGH NJW 2006, 453 ff.)(49)
第5項 連邦通常裁判所2005年12月2日判決(マンネスマン〔Mannesmann〕事件判決、BGHSt 50, 331 ff.)(52)
第6項 まとめ(55)
第2款 学 説(56)
第1項 刑法外の規範との関係―客観的帰属論の導入(56)
第2項 義務違反の判断―とりわけ支持不可能性(Unvertretbarkeit)について(60)
第3項 調査過程の考慮(67)
第4節 小 括 74
第5節 その後のドイツ背任罪をめぐる展開 79
第1款 背任罪の合憲性についての連邦憲法裁判所第二法廷2010年6月23日決定(79)
第1項 事案の概要(79)
第2項 罪刑法定主義(明確性の要請)について(81)
第3項 刑法266条の憲法適合性(84)
第4項 三つの事件について(86)
第5項 本決定の評価とその後の展開(89)
第2款 保護目的連関をめぐる最近の裁判例の展開(90)
第3款 義務違反の重大性をめぐる最近の裁判例の展開(92)
第4款 その後の展開のまとめ(93)
第3章 背任行為の画定 94
第1節 刑法外の規範との関係 94
第2節 任務違背の判断 96
第3節 調査過程の考慮 99
第4章 不正融資に対する刑事責任―経営判断原則と背任罪 103
第1節 検討の対象 103
第2節 背任罪の成否について 106
第1款 任務違背(106)
第2款 図利加害目的(109)
第3節 経営判断原則と背任罪 110
第1款 任務懈怠責任と経営判断原則(110)
第2款 不正融資における経営判断原則と背任罪(113)
第1項 経営者に対する裁量の肯定―結果責任の否定との関係(113)
第2項 金融機関の融資業務における経営判断原則の限定(115)
第3項 取締役の法令遵守義務の意味(116)
第4項 図利加害目的と経営判断原則(116)
第4節 本章のまとめ 117
第5章 むすび 118
第1節 本編のまとめ 118
第2節 私見への批判を受けて 119
第2編 財産上の損害概念の諸相と背任罪の「損害」要件
第1章 はじめに―問題の所在 125
第2章 背任罪の損害を巡る議論 129
第1節 全体財産の意義 129
第2節 全体財産に対する罪と個別財産に対する罪 132
第1款 二つの概念の異同(132)
第2款 各財産概念と全体財産(133)
第3節 損害の構成要素・評価方法 135
第1款 損害の構成要素(135)
第2款 損害の評価方法(138)
第1項 「実害発生の危険」と「経済的見地から見た損害」(138)
第2項 債務負担事例と担保権喪失事例に見る判例・学説の「実害」と「経済的見地」(140)
第3項 被害者の個別的・主観的事情の考慮(144)
第4項 経済的見地による具体的な損害判断(147)
第4節 小 括 151
第3章 詐欺罪の損害を巡る議論 153
第1節 従来の財産上の損害を巡る議論 153
第2節 詐欺罪独自の損害概念の展開 155
第3節 詐欺罪における損害の内容 159
第4節 小 括 161
第4章 その他の損害を巡る議論 163
第1節 権利行使と詐欺・恐喝 163
第2節 財産上の利益に対する犯罪 165
第3節 不法領得の意思 167
第5章 ここまでのまとめ 170
第6章 背任罪の「財産上の損害」要件についての検討 172
第1節 背任罪の特徴 172
第2節 考慮される損害の範囲―実質的損害との関係 173
第1款 金銭的価値に限られるか(金銭的な量定、あるいは、その可能性が必要か)(173)
第2款 詐欺罪の損害概念との違い(174)
第3款 経済的価値への限定(175)
第4款 背任罪の行為態様と損害(176)
第3節 損害の直接性 177
第4節 一時使用の取扱い 178
第5節 さらなる検討 179
第1款 任務違背と損害の一体化(限界撤廃)の問題(179)
第2款 私見による個別事例のいくつかの検討(181)
第7章 むすびにかえて 184
第3編 背任罪の図利加害目的について
第1章 はじめに 189
第2章 図利加害目的の概要 190
第1節 沿 革 190
第2節 「利益」・「損害」の内容 191
第3節 図利加害目的の意義 191
第1款 問題の所在(191)
第2款 学 説(192)
第3款 判 例(193)
第4款 消極的動機説(195)
第3章 検 討 198
第1節 他の財産犯における「本人の利益を図る動機」 198
第1款 横領罪(198)
第2款 移転罪(202)
第2節 客観的構成要件と「本人の利益を図る動機」の関係 203
第1款 財産上の損害と「本人の利益を図る動機」(203)
第2款 任務違背と図利加害目的の関係(203)
第3節 「本人の利益を図る動機」の意義 206
第1款 任務違背を形式的に捉える場合(206)
第2款 任務違背を実質的に判断する場合(207)
第3款 本人の意向と経済合理性(212)
第4章 むすびにかえて 214
第4編 背任罪の共犯―不正融資の借り手の刑事責任について
第1章 問題の所在 219
第2章 判例とそれに対する学説の対応 221
第3章 若干の考察 224
第5編 会社法罰則(特別背任罪)のエンフォースの動向に対する理論的な評価
第1章 はじめに 231
第2章 刑事罰によるエンフォース 234
第1節 金融商品取引法のエンフォースとの異同 234
第2節 会社犯罪の保護法益と刑事行政 235
第3節 会社犯罪の訴追選択基準 239
第3章 特別背任罪の解釈と訴追状況 242
第1節 図利加害目的 243
第2節 任務違背 244
第3節 相手方の共犯 246
第4節 まとめ 248
第4章 むすび 250
第6編 クレジットカードシステムと背任罪
第1章 はじめに 255
第2章 背任罪構成要件について 256
第1節 総 説 256
第2節 背任罪の本質 257
第3節 背任罪の構成要件一般 257
第1款 事務処理者(257)
第2款 任務違背(259)
第3款 財産上の損害(259)
第4款 図利加害目的(260)
第5款 他罪との関係(260)
第3章 クレジットカードシステムにおいて背任罪が問題になり得る場面 262
第1節 カード会員が他人にカードを使用させていた場合 262
第2節 加盟店の従業員がカードの不正利用者と通謀している、若しくは、途中で不正利用に気付いた場合 264
第1款 加盟店との関係(264)
第2款 カード会社との関係(266)
第3節 加盟店の従業員が、架空売買により代金をカード会社から得る場合 268
第4章 おわりに 270
判例索引 271