共犯論の基礎と課題
豊田兼彦 著
定価:7,150円(税込)-
在庫:
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発行:
2025年10月20日
-
判型:
A5判上製 -
ページ数:
272 -
ISBN:
978-4-7923-5458-9
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《目 次》
はしがき(i)
初出一覧(xiv)
第1部 共同正犯論
序論 3
第1章 共同正犯の検討課題―2つの最高裁決定を契機として― 5
1 はじめに 5
2 因果的共犯論に基づく共同正犯の理解と実務への影響 6
1 因果的共犯論とそれに基づく共同正犯の理解(6)
2 実務への影響(6)
3 2つの最高裁決定と検討課題 9
1 平成29年決定(9)
2 平成30年決定(11)
4 検討課題への取組み 15
1 平成29年決定が示した検討課題について(15)
2 平成30年決定が示した検討課題について(22)
5 おわりに 24
第2章 因果的共犯論と共同正犯 25
1 はじめに 25
2 因果的共犯論に基づく議論 25
1 共犯の因果性(25)
2 共同正犯の正犯性(27)
3 個別問題への展開(27)
3 因果的共犯論に基づく共同正犯論への疑問と新たな動き 33
第3章 特殊詐欺と承継的共同正犯―最高裁平成29年12月11日決定の検討を通して― 36
1 はじめに 36
2 だまされたふり作戦の開始の影響 37
1 結果発生の危険性(37)
2 犯行計画に沿った事態の進捗(犯罪実現意思の継続)(38)
3 詐欺未遂罪の成立に必要な危険性(38)
4 後行者の行為の危険性(39)
3 詐欺罪の承継的共同正犯・受け子の共同正犯性 40
1 因果的共犯論を前提とした議論(40)
2 因果的共犯論を前提としない議論(42)
3 受け子の共同正犯性(45)
4 関連問題 47
1 後行者の共同正犯成立時期(47)
2 詐欺既遂後に詐欺罪の共犯が成立する余地(49)
第4章 危険運転致死傷罪と共同正犯 51
1 はじめに 51
2 複数車で走行した場合 51
1 砂川市一家5人死傷事件(51)
2 共謀共同正犯か、実行共同正犯か(53)
3 自手犯の問題(54)
4 実行共同正犯の成立範囲(56)
3 非運転者の関与 57
1 裁判例の傾向(57)
2 タチワル事件(57)
3 自手犯と解した場合(58)
4 おわりに 59
第5章 サイト等の管理・運営行為と共同正犯―最高裁令和3年2月1日決定を素材として― 60
1 はじめに 60
2 サイト等の管理者の刑事責任 60
1 裁判例の傾向(61)
2 共同正犯とされる理由(65)
3 問題点(66)
3 共同正犯についての従来の判例 66
1 実行共同正犯についての判例(66)
2 共謀共同正犯についての判例(67)
3 従来の判例の整理(69)
4 令和3年決定 70
1 事実の概要(70)
2 裁判所の判断(72)
5 若干の考察 73
1 共謀共同正犯の成立を認めたものと理解した場合(74)
2 実行共同正犯の成立を認めたものと理解した場合(75)
第2部 幇助犯論
序論 79
第1章 共犯の処罰根拠論と客観的帰属論 81
1 はじめに 81
2 因果的共犯論(日本)と惹起説(ドイツ) 81
1 共通点と相違点(81)
2 共犯の立場から見て構成要件に該当する結果の惹起(82)
3 「許されない」危険の創出・実現(82)
3 共犯の処罰根拠論と客観的帰属論 83
1 責任共犯説・不法共犯説(83)
2 惹起説(84)
4 混合惹起説の課題 86
1 混合の理論的根拠(86)
2 真正身分犯の共犯(86)
第2章 共犯における許されない危険の創出 89
1 はじめに 89
2 問題の所在と本章の目的 89
1 出発点にある問題意識(89)
2 不処罰の領域(90)
3 本章の目的(92)
3 共犯の理論枠組み 93
1 課題の整理(93)
2 伝統的見解に対する疑問(94)
3 許されない危険の創出(98)
4 理論的基礎(103)
4 中立的行為について 106
1 前提(106)
2 日本の判例(106)
3 ドイツの学説(110)
4 日本の学説(113)
5 具体的基準(114)
6 事例の検討(117)
第3章 不特定者に対する幇助犯 119
1 はじめに 119
2 日本の判例 120
1 間接幇助の判例(120)
2 大審院昭和10年2月13日判決(121)
3 間接幇助の可罰性との関係(122)
4 Winny事件(122)
3 日本の学説 126
1 学説状況の概観(126)
2 肯定説(126)
3 否定説(128)
4 ドイツの判例・学説 129
1 関連判例(129)
2 教唆犯との対比(129)
5 検討 130
1 結論(130)
2 否定説に対する疑問(130)
3 肯定説の根拠に対する疑問(132)
4 肯定説の根拠(133)
5 幇助犯の処罰の限定(133)
第4章 Winny事件控訴審判決と中立的行為 135
1 はじめに 135
2 Winny事件の概要 135
1 事案の概要(135)
2 第1審判決(136)
3 控訴審判決(137)
4 両判決の比較(138)
3 中立的行為に関する議論状況 138
1 中立的行為の意義(138)
2 判例(139)
3 学説(141)
4 Winny事件第1審判決をめぐる議論(143)
4 控訴審判決について 144
1 控訴審判決の特徴(144)
2 限定基準の当否(144)
3 Winnyの中立性について(146)
5 おわりに 146
第5章 Winny事件最高裁決定と中立的行為 148
1 Winny事件の概要と最高裁決定 148
1 事件の概要(148)
2 最高裁決定(149)
2 検討課題 150
3 幇助犯の成立要件と「中立的行為による幇助」 151
1 問題の所在―「中立的行為による幇助」(151)
2 裁判例(153)
3 学説(154)
4 最高裁決定の検討 156
1 事案の特徴と論点(156)
2 若干の検討(157)
第6章 幇助犯における「線引き」の問題について―Winny事件を素材として― 159
1 はじめに 159
2 Winny事件 161
3 「線引き」の理論的根拠 166
4 「例外的とはいえない」の意味と基準の妥当性 172
第7章 業務行為と詐欺幇助 174
1 はじめに 174
2 幇助限定の必要性と方法 175
1 問題の所在(175)
2 主観面の限定(176)
3 客観面の限定(179)
3 おわりに 182
第8章 幇助犯の成立範囲の限定―幇助行為の犯行促進性を中心に― 183
1 はじめに 183
1 本章の課題(183)
2 旅は道連れ?―受け子同行事件―(183)
2 幇助行為とその限定 185
1 幇助行為の対象(185)
2 幇助行為―とくに心理的幇助―(187)
3 幇助行為の重要性(192)
3 幇助行為以外の限定 193
1 因果関係(促進関係)(193)
2 幇助の故意(幇助の意思)(194)
4 おわりに 194
第9章 幇助行為の事実的基礎と規範的限定―近時の裁判例を素材として― 195
1 はじめに 195
2 幇助行為の事実的基礎 196
1 判断枠組み(196)
2 近時の無罪判例(197)
3 幇助行為の規範的限定 201
1 判断枠組み(201)
2 裁判例(204)
第10章 共犯からの離脱と幇助犯 213
1 はじめに 213
2 因果性遮断説からの説明 214
1 因果性遮断説の概要(214)
2 共同正犯性の否定と幇助犯の成立可能性(216)
3 裁判例の分析 217
1 裁判例の概観(217)
2 幇助犯の成立を認めていない裁判例(217)
3 幇助犯の成立を認めた裁判例(226)
4 おわりに 229
第3部 共犯論の特殊問題
序論 233
第1章 被害者を利用した間接正犯 234
1 はじめに 234
2 第三者を利用した場合との比較 235
1 強制による場合(235)
2 欺罔による場合(237)
3 実務上の背景(239)
4 理論的説明(240)
3 被害者を利用した間接正犯の正犯性 241
1 被害者の同意論との関係(242)
2 被害者を利用した間接正犯の正犯性(243)
第2章 業務上横領罪への非占有者の関与と判例理解―最高裁令和4年6月9日判決を契機として― 246
1 はじめに 246
2 刑法65条の適用に関する判例の見解 248
3 昭和32年判決の理解 248
1 一般的な理解(248)
2 第1審判決による理解(249)
3 令和4年判決による理解(251)
4 議論の整理 251
1 判例の立場を前提とする見解(252)
2 判例の立場を前提としない見解(252)
5 おわりに 254