日中刑事法の現代的課題
佐伯仁志 編
定価:3,300円(税込)-
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発行:
2025年12月20日
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判型:
A5判並製 -
ページ数:
238 -
ISBN:
978-4-7923-5463-3
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《目 次》
はしがき
開会のご挨拶......陳 興良 1
開会の辞......佐伯仁志 3
特別企画:西原春夫先生と日中刑事法の交流......高橋則夫 5
第1 セッション: 緊急避難の現代的課題 ―正当化根拠、自動運転と緊急避難―
緊急避難の現代的課題 ―自動運転車におけるジレンマ問題、トリアージ等をめぐって―......松原芳博 17
Ⅰ 法規定 (17)
Ⅱ 法的性格(不処罰根拠) (17)
Ⅲ 要件 (19)
1 危難の現在性 (19)
2 避難の意思 (20)
3 補充性、相当性 (21)
4 害の均衡 (21)
Ⅳ 生命を犠牲にする緊急避難(生命をめぐるジレンマ問題) (22)
Ⅴ 自動運転車におけるジレンマ問題 (24)
Ⅵ トリアージ (26)
Ⅶ DV 被害者による反撃 (28)
緊急避難と自動運転車の刑事責任......黎 宏 33
はじめに (33)
Ⅰ 中国刑法における緊急避難規定 (34)
Ⅱ 緊急避難の法的性格 (36)
Ⅲ 自動運転者の刑事責任と緊急避難 (40)
Ⅳ 結び (46)
第2 セッション: 幇助犯 ―因果関係、中立的幇助、不作為による幇助―
幇助犯......亀井源太郎 51
Ⅰ はじめに ―幇助犯論の活性化― (51)
Ⅱ 幇助犯の意義 (52)
Ⅲ 幇助犯の因果関係 (52)
Ⅳ 中立的幇助 (54)
1 問題の所在 (54)
2 Winny 事件最高裁決定 (55)
3 プラットフォーム事業者の共犯責任 (56)
Ⅴ 不作為による幇助 (57)
1 作為義務 (57)
2 作為義務の内実 (58)
3 不作為による幇助犯の作為義務発生根拠 (60)
【追記(1):令和6 年6 月】 (60)
【追記(2):令和6 年10月】 (61)
中国刑法における幇助犯の理解と認定......付 立慶 65
はじめに (65)
Ⅰ 幇助犯の因果関係 (65)
1 助犯因果関係の特殊性 (66)
(1) 条件説ではなく促進説 (66)
(2) 正犯行為に対する促進ではなく正犯結果に対する促進 (67)
2 心理的因果関係の体系的地位と具体的判断 (68)
3 幇助犯の離脱(因果関係切断説の立場と実例) (70)
4 幇助犯が主犯になる可能性(1)中国刑法独特の問題 (73)
Ⅱ 中立的行為と幇助犯 (74)
1 中国実務の態度 (74)
2 学説状況 (76)
(1) 純粋主観説と限定主観説 (76)
(2) 客観説 (77)
(3) 総合説 (79)
3 中立的幇助行為を限定する基準の明確化(1)総合説の展開 (79)
Ⅲ 不作為による幇助犯 (83)
1 不作為幇助犯の認定の前提 ―保障人的地位 (83)
2 不作為幇助犯の存在余地 ―意思連絡が欠ける場合に限るか?― (84)
3 不作為幇助犯の認定のかなめ ―不作為による正犯との区別― (85)
4 不作為幇助犯の認定困難さ ―法益侵害結果との因果関係 (88)
Ⅳ 幇助行為の各則規制及びその適用 (89)
1 幇信罪の立法規定及び性質 (89)
2 幇信罪の処罰範囲と競合処理 (91)
(1) 幇信罪と前提犯罪幇助犯の競合 (92)
(2) 競合する場合の軽重判断及び刑罰裁量 (93)
(3) 幇信罪の単独適用 (94)
特別講演 日本における近時の刑法理論の展開実行の着手に関する最近の判例と学説の対応......山口 厚 101
Ⅰ はじめに (101)
Ⅱ 実行の着手に関する状況 (103)
1 伝統的な判例の立場 (103)
2 最近の判例 (104)
3 判例の意義と近時の学説及びその評価 (105)
Ⅲ おわりに (110)
第3 セッション:恐喝罪をめぐる理論的課題
恐喝罪についての考察......只木 誠 113
Ⅰ はじめに (113)
Ⅱ 恐喝罪の沿革 (113)
Ⅲ 権利行使と恐喝 (115)
1 権利行使と恐喝と財産犯の保護法益 (115)
2 正当な債権を有する者が恐喝の手段を用いてその弁済を受けた場合 (117)
(1) 学説 (117)
(2) 判例 (118)
Ⅳ 相当対価の支払いと犯罪の成否 ―詐欺罪と恐喝罪の異同― (120)
Ⅴ 交付行為の意義の相対性 (122)
Ⅵ 反抗抑圧の存否と強盗・恐喝の成否 (123)
Ⅶ 詐欺と恐喝罪の競合 (125)
中国刑法上の恐喝罪......江 溯 131
はじめに (131)
Ⅰ 恐喝罪の保護法益 (132)
Ⅱ 恐喝罪の客観的構成要件 (133)
1 恐喝行為 (133)
2 行為の客体 (135)
(1) 行為の客体としての被害者 (135)
(2) 行為の客体としての公私財物 (136)
3 畏怖した心理状態 (137)
4 財産上の損害 (138)
Ⅲ 故意と不法領得意思 (139)
Ⅳ 特殊な処罰阻却事由(親族相盗例) (140)
Ⅴ 他罪との関係 (141)
1 恐喝罪と強盗罪の区別 (141)
2 恐喝罪と詐欺罪の区別 (142)
3 恐喝罪と略取罪の区別 (143)
4 恐喝罪と取引強要罪の区別 (144)
Ⅵ 権利行使と恐喝罪 (145)
1 権利行使と恐喝罪の客観的構成要件 (146)
2 権利行使と恐喝罪の主観的構成要件 (148)
3 権利行使と恐喝罪の違法性 (149)
4 権利行使と恐喝罪の責任 (150)
第4 セッション:環境犯罪
日本における環境犯罪をめぐる議論について......橋爪 隆 157
Ⅰ はじめに (157)
Ⅱ 公害罪法の解釈 (158)
1 概要 (158)
2 排出の意義 (160)
Ⅲ 廃棄物処理法 (162)
1 総説 (162)
2 廃棄物の意義 (163)
3 不法投棄罪の成立要件 (165)
(1) 総説 (165)
(2) 具体例の検討 (166)
Ⅳ 動物の保護 (170)
1 動物愛護管理法 (170)
2 鳥獣保護管理法 (172)
(1) 概要 (172)
(2) 有害動物の駆除をめぐる課題 (173)
Ⅴ おわりに (175)
環境犯罪の法益識別と行政従属......高 巍 181
はじめに (181)
Ⅰ 法益識別 (182)
1 応然法益論への批判 (183)
2 実然法益論の立論 (186)
(1) 環境汚染に関する犯罪の法益 (187)
(2) 自然資源破壊に関する犯罪の法益 (191)
1 動物資源の侵害に関する犯罪 (191)
2 植物資源の侵害に関する犯罪 (192)
3 土地資源の侵害に関する犯罪 (193)
4 鉱物資源の侵害に関する犯罪 (194)
Ⅱ 行政従属 (195)
1 行政従属と罪刑法定 (196)
2 行政従属の類別化 (199)
(1) 行政規範従属 (199)
1 概念従属 (199)
2 義務従属 (202)
(2) 行為従属 (204)
1 許可行為従属 (204)
2 行政処罰従属 (206)
Ⅲ まとめ (208)
総括......佐伯仁志... 213
中国側の総括......張明 楷... 216
閉会の辞.......高橋則夫... 221
閉会の挨拶......劉明 祥... 223